2009/08/14

白いハンカチにこめられた思い

東京メトロ九段下駅の改札を出たところに、「記された想い 手紙と日記に見る戦中・戦後」のポスターが貼られていて、所要を済ませたあとで、行ってみた。

戦時中、戦地にいる兵士とその家族が近況を伝えあえる唯一の手段は、手紙のやりとりでした。当時は検閲制度があったため、本心を書くことは難しい状況でし たが、手紙を丹念に見ていくと、家族を思う気持ちだけでなく、手紙には書けない当時の情勢なども読み取ることができます。
また、日記には戦争の影響で変化していった日々の生活や、終戦後社会が復興してく様子が、そのときの想いとともに記されています。
昭和館がこれまで収集してきた多くの手紙や日記等の資料とあわせ、写真や当時を思い出して書かれた絵手紙を展示し、戦中・戦後の生活の様子、人々の想いを紹介いたします。

という趣旨の企画展示。
全体は、1.銃後のくらし 2.戦地と銃後をつないだ手紙 3.終戦、戦後 4.戦中・戦後の夏休みの日記 という4つのコーナーに分けて構成されていた。
その日の勤労奉仕の内容を記した日記、配給の食糧を水彩画で描いた日記など、日々のくらしにおわれていたであろう中でも、こうやって丹念に記録を残した人がいたんだなぁ。
また、手紙でも、絵が添えられたものもあった。

中でも印象的だったのは、恋人に宛てて、その無事帰還を待つと書かれた、白いハンカチ。そこには

我君とともに
健壽様
淑江

と書かれていた。
その文字は、彼女の血で書いたもので、すっかり血の赤は褪色して茶色になっている。
婚約した後、健壽さんに召集令状が来て、健壽さんは婚約破棄を申し入れたが、淑江さんは「二年でも三年でも貴方の御凱旋をお待ちしております」と書いた手紙とともに、このハンカチを添えて翻意を促したそうだ。
二人は後に結婚、他界されるまで、誰にも見せることなく大事に保管していたものだという。

この白いハンカチに限らず、人前で「生きて帰ってきて」とは言いにくかったであろう当時、精一杯の思いを込めて書かれた手紙の数々を読むと、二度とこういう時代になってはいけないと思った。

昭和館会館10周年記念「記された想い ~手紙と日記にみる戦中・戦後~」は、8月30日まで、東京・九段下の昭和館で開催。入場無料。
詳細は昭和館のサイトを参照してください。

それにしても、ポスターのビジュアルがなかなかよかったのに、サイトにはそれが使われていないのは、もったいないなぁ…。
  

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