「歌舞伎美人」サイトにも、さっそく、計画についてのお知らせがUPされていた。
「歌舞伎座建替え計画に関するお知らせ」
そのお知らせによれば、
発表された内容では、歌舞伎の殿堂「歌舞伎座」の継承を主眼に、劇場部分は従来通りに低層で構え、その独立性を重視した日本様式の外観デザインとなる予定 です。特に、劇場内は桟敷席や一幕見席などの歌舞伎座らしい設備はそのままに、エレベーターやエスカレーターの設置、トイレの増設、客席設計の改善などを 盛り込み、お客様にやさしい空間づくりを目指す方針となっています。とのこと。このページには、完成予想図はUPされていなかったので、検索をかけてみると、
MNS産経ニュースに、完成予想図の写真があった。

昨年末に発表されたデザイン案は、外観が大幅に変更され、ビルの中に劇場が呑み込まれてしまうような形だった。
また、建築許可を出す東京都の石原慎太郎知事が、現在の歌舞伎座の桃山風の建築様式を
「銭湯のような外観は嫌いだ、オペラハウスのようなデザインがいい」
という意味の発言をしたことが伝えられ、歌舞伎ファンをはじめ、多くの人の反発を招いた。
その時に発表されたデザインよりは、だいぶ、現在の歌舞伎座の外観が生かされているなという印象があり、一安心といったところ。
しかし、多くの歌舞伎ファンが熱望している「一幕見席」は廃止される方向のようで、その点は、非常に残念だ。
歌舞伎の興行は、だいたいの場合、昼の部が11時、夜の部が16時30分開演で、休憩をはさんで5時間程度の長い上演時間が特徴。
チケット代も、1万数千円から安い席でも2千500円ぐらい。初めてでは「つまらなかったらどうしよう? もったいないな」といった気後れを感じるという話をよく耳にする。こうした人たちに、千円前後で気軽に、生の歌舞伎に触れてもらうことができる、貴重な場が幕見席だ。
また、コアなファンの中には、贔屓の役者目当て、あるいは気に入った演目を何度も見に通うことができると、繰り返し利用している人も少なくない。
こうした、歌舞伎全体のファン層を広げるという意味では、非常に大事な役割を担ってきた幕見席を廃止することは、今後の歌舞伎の存亡にもかかわるぐらいの暴挙ではないだろうか。
新装開場から2年ぐらいは、新しいもの見たさのお客が、団体も含め大挙して歌舞伎座に足を運ぶかもしれない。しかし、そうした"新しもの好き"の客は、常に次のターゲットを求めて、動いている人たちだ。その中の何割が、歌舞伎ファンとして定着し、リピーターとなってくれるか、といえば、非常に心もとない気がする。
一方、こうした団体客に押し出された歌舞伎ファンからは、舞台を生で見る機会が減り、「こんなにチケットとりがたいへんなんだったら、もういい」と背を向けられてしまう可能性だって、大いにある。
しかし、幕見席があれば、こうした前売りでチケットを購入できなかった人たちをある程度、吸収することができる。
また、学生や若い人で「お金はそんなに持っていないが歌舞伎は好き」という人たちが、生の歌舞伎を手軽に楽しめる機会を提供することもできる。
今年の春に発表された計画では、幕見席のかわりに「ガラスで仕切った上階の別室から、舞台と客席をけんがくすることができる」施設を作る、という項目があったが、せっかく歌舞伎座まで足を運んだ人たちを、なぜ、ガラスの向こうからしか見られない場所に押し込めなくてはならないのだろうか?
たとえ、舞台からは離れた席でも、生の舞台に触れてもらって、歌舞伎の楽しさ、美しさ、醍醐味を知ってもらってこそ、ファンが生まれるというものではないか?
そういう意義のある場所としての「一幕見席」廃止を、ぜひ見直していただきたい。
なお、新生・歌舞伎座の完成は2013年春の予定 とのこと。
それまで、歌舞伎の公演数事態は維持するという発表が同時になされ、新橋演舞場ほかの劇場で歌舞伎を上演するものと思われる。
また、このニュースの中で、十八代中村勘三郎の長男・勘太郎が、六代勘九郎を襲名することも発表されたとのこと。
2012年に披露興行を行うとのことなので、新生歌舞伎座の杮落としより早い時期になるが、重ね重ねおめでたい。
勘太郎くんといえば、小さな時から舞台で活躍しており、近年はその進境著しさに目を見張らせるものがある。
父・勘三郎さんは「息子だからといって、名前を継がせるとは限らない」と自身の襲名の折に語っていたが、早くも息子の成長を認めたということだろう。
今秋には、タレントの前田愛との結婚が決まっている勘太郎くん、ますます芸に精進してくれるだろう。
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