なんといっても「船弁慶」の傳次郎さんの太鼓が聴きたくて、一度聴いてしまったら、また聴きたくなる、という連鎖が…。
日曜日は、偶然、当日券で非常によいお席が出ていたので、予定外に観劇した。
で、今日は、お友達と「行くなら、その日しかない」と予定を合わせていた分。
で。「船弁慶」。
この曲は、2年ぐらい前の、歌舞伎座で染五郎さんのシテの時に、通ったなぁ。
実は、この時は、踊りを見に通ったのではなく(笑)、お囃子を聴くために、幕見に通ったのであった。
その時も、タテ鼓が家元(=田中傳左衛門氏)、太鼓が傳次郎さんで、大いに感動。
最後、知盛の幕外の引っ込みの時に、太鼓と笛の出打があるのだが、これがまた、非常にカッコイイのだ。
傳次郎さんが太鼓を出囃子で打つ機会は、最近、かなり減っている。本興行では、ご兄弟が揃わないことが多いためだ。
鼓に関しては、やはり、家元がスゴイなあと思うのだけれど、太鼓は、やはり傳次郎さんがいい。望月長左久さんもいいけど。
傳次郎さんの太鼓の好きなところは、同じお道具なのに「こんなにいろんな音色が出せるのか!」というところ。曲想によって、やわらかい音、明るい音から硬い音、鋭い音、重い音、までさまざまな情景を見せてくれるところ。
「船弁慶」でも、舟長が出てきて、ご祝儀の唄を歌うあたりは、のどかで明るい感じだし、知盛が出てくるところでは、不気味で不吉で暗くて、そんな感じが漂う。
知盛が義経に襲いかかるところからは、長唄も囃子もどんどん盛り上がっていく。その時のノリを作ってリードしていくのが、太鼓の役目。
前に、家元が「弟の太鼓は、リードする太鼓だ」とおっしゃってるのを読んだ事があるけれど、まさにそんな感じ。
その場の雰囲気を作り出していくという意味の「リード」が、傳次郎さんの太鼓なのだ。
さて、今月はあと何回、傳次郎さんの太鼓が聴けるかな??? せめて、あと一度は聴きたいものだが。
0 件のコメント:
コメントを投稿